介護サービスを利用する際、最初のステップが要介護認定の申請です。このページでは、要介護認定の申請から実際に認定を受けるまでの流れをご紹介します。
要介護認定とは?
介護が必要かどうか、必要な介護レベルはどの程度なのかといった観点から、介護サービスの利用を希望する人を分類する認定制度です。介護が必要な「要介護1~5」、介護予防が必要な「要支援1・2」、要介護や要支援に該当しない「非該当」に分類されます。
非該当 |
要支援・要介護に該当しない |
要支援1 |
日常生活の基本的な動作は自分でできるが、一部に介助が必要な状態。介護予防の支援を受けることで、要介護状態になるのを防げる可能性が高い。 |
要支援2 |
日常生活に介助が必要な状態。要支援1と同様、介護予防の支援を受ければ要介護状態になるのを予防できる可能性がある。 |
要介護1 |
歩行などの運動機能や物忘れなどの認知機能に不安定さがあり、部分的な介護が必要な状態。 |
要介護2 |
要介護1より運動機能や認知機能が低下し、排せつや入浴など日常生活の一部または全部に助けが必要な状態。 |
要介護3 |
歩行、排せつ、入浴、衣服の着脱など日常生活全てに助けが必要な状態。 |
要介護4 |
日常生活全般に動作能力が低下し、介護なしでの生活は困難な状態。 |
要介護5 |
要介護状態の区分で最も重い状態。日常生活全般に介護が必要で、介護なしでは生活を送ることがほぼ不可能。 |
ステップ1 要介護認定の申請
要介護認定は、お住まいの市区町村の窓口で申請することができます。ご本人だけでなく、ご家族や地域包括支援センターや介護保険施設などに申請を代行してもらうことも可能です。
コラム 要介護認定申請に必要な持ち物リスト
要介護認定を申請する際には、以下の書類や持ち物が必要です。
- 介護保険の保険証
- (40~64歳の方のみ)医療保健の保険証
- マイナンバーが確認できる書類 例)マイナンバーカード
- 本人確認ができるもの 例)運転免許証、マイナンバーカード
- 印鑑
コラム 認定結果が通知される前に介護サービスを利用したい場合は?
認定結果の有効期間は申請日からとなるため、要介護認定を申請が完了していれば、認定前でも介護サービスを利用することが可能です。ただし、認定を受けるまでは介護サービス料は、全額自己負担となり、認定後に後払いという形で介護保険料が支給されますので、注意が必要です。また、認定で「要介護」「要支援」に当てはまらないと判断された場合、利用したサービスへの保険料の給付はありません。
認定結果が通知される前に介護サービスを利用する場合は、ケアマネージャーなどと相談の上、慎重にサービス内容や費用を検討しましょう。
ステップ2 認定調査
申請の受付が完了すると、次に行われるのが認定調査です。訪問調査と主治医の意見書を元にご本人の生活や状況を確認し、どれくらい介護サービスが必要かを判断します。
訪問調査
市区町村の職員や、委託を受けたケアマネージャーが自宅を訪問し、心身の状況についてご本人やご家族から聞き取り調査を行います。
訪問調査当日は、ご本人が緊張したり、見栄を張ってしまったりと、通常とは違う態度を取ってしまうことがあります。訪問調査で正しく状況を判定してもらうためにも、普段の様子や直近の出来事を記録しておき、調査員に内容を伝えましょう。その際、ご本人が気分を害さないよう、調査の前後などにご本人のいないところで状況を伝えるのがポイントです。
– 訪問調査のポイント –
- 体調管理に気をつける
ご本人の体調が悪いと、訪問調査が延期になることもあります。調査当日に現状を正しく伝えるためにも、ご本人の体調には気をつけましょう。
- 家族が立ち会う
ご家族の立ち合いは任意ですが、介護状況や普段の様子を聞かれたりすることもありますので、できる限り同席しましょう。
- メモを用意しておく
主治医意見書
訪問調査と合わせて、主治医(かかりつけ医)に心身の状況についての意見書を作成してもらいます。主治医がいない方は、市区町村の窓口に相談してください。
ステップ3 審査
認定調査が終わると、介護サービスの必要度の審査が行われます。公平な判定を行うために、一次判定(コンピュータ判定)と二次判定の二段階で介護サービスの必要度を判断します。
一次判定(コンピュータ判定)
認定調査の結果を基に、コンピュータによる判定が行われます。
二次判定
一次判定の結果、特記事項(訪問調査員が、基本調査項目のチェックだけでは不足している情報の補足として記入した事項)、主治医意見書を基に、介護認定審査会が審査します。
ステップ4 認定
原則として申請から30日以内に、認定結果が通知されます。認定区分は、「要介護1~5」、「要支援1・2」、「非該当」の8分類です。
コラム 要介護認定には更新手続きが必要です!
要介護認定の結果には、有効期間があります。初回の認定の場合は原則として申請日から6ヶ月、更新認定の場合は12ヶ月です。引き続きサービスを利用したい場合は、有効期間満了日の60日前から満了日までの間に市区町村の窓口で更新の申請を行いましょう。更新の際にも、初回の要介護認定時のように認定調査や審査で要介護度が認定されます。
また、要介護認定の有効期間内に心身の状態が著しく変化した場合は、要介護認定の区分変更を申請することができます。市区町村の窓口で、区分変更申請の手続きを行ってください。
コラム 認定結果に納得できない時は?
要介護認定の結果に不服がある場合は、以下の2つの方法で認定結果を変更できる場合があります。
①都道府県に設置されている「介護保険委員会」に申し立てをする
要介護認定の通知から60日以内に、市区町村の窓口で不服申し立てをするという方法です。ただし、再調査の上結果が出るまでには数か月ほど時間がかかる場合があるため、注意が必要です。
②要介護認定の区分変更申請を行う
区分変更申請は、本来心身の状態が悪化して要介護認定が現状に見合わなくなった時に認定調査を行うものですが、要介護認定の結果に納得できない場合も利用することができます。結果は30日以内に通知されます。